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地球を出るときには盛大なセレモニーが開かれた。
地球人類を代表する留学生第一号として、異星を訪問するのだ。出発の何日も前から、あちこち引っ張り回され、政府の偉い人に会ったり、テレビ局に呼ばれて、有名タレントと一緒にバラエティ番組に出て抱負を語ったりもした。
出発当日には、紙吹雪の舞う中、オープンカーに乗って、銀座の街をパレードするというこっぱずかしい体験もさせられた。
同じことをして欲しいと思ったわけではない。
地球での馬鹿騒ぎの目的が一種の宣伝、つまり、僕の身に降りかかった人権侵害的不幸(人身御供として知らない惑星に強制的に送られる)の国民に対する悪い印象を薄めるためのものだと分かっていたのでなおさらそうは思わなかった。
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