狭間 論理

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6月6日 正午 小鳥が囀り木々に止まり実を分け合う愛しい光景を見ながら、私は目を覚ました まだ少しまどろんでいる私はとりあえず顔を洗いに洗面所へ向かった 蛇口をひねって出てくる水 この水は勝手に沢から引いてきた為無料である 水道代を払うなど、バカバカしくてやってられん バレたら捕まるレベルだが、バレるわけがない 何故なら私は天才だからだ 私の名前は狭間 論理 今年で30歳になる。人間界でいうところの所謂ニートになり、早10年が経つ 10年前までは有名な大学に通っていたが、ある日突然辞めた 理由らしい理由は無いが、恐ろしいまでの吐き気に襲われたからである 低俗な人間の中で授業を受けているのは、感覚で言えば腐ったみかんだらけの場所に健常なみかんが放り込まれる様に似ている 自分が健常なみかんだというわけではないが、少なくとも周りとは明らかに違う 私の脳は、俗世間の人間とは比べ物にならないくらい優秀である しかし、それはあちら側から見れば異常であり、爪弾きに合うのは私の方である 人間ごときに爪弾きに合っているのが腹立たしいが、まあ別に理解されたくもないので行動に移したりはしない その気になれば、この世界を滅ぼすことさえ可能だが…それをしようとは思わない こんな私にも一つだけ、夢があるからである
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