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その夜。
「で?相棒は決まったのか?」
夕食時、父が明日香に聞いた。
「い、一応」
「一応ってなんだよ」
、とケラケラ笑っているのは明日香の兄・秋永(アキナガ)。
「おい、秋永!笑ってやるなよ」
、と秋永に注意しているのは父の兄。
明日香の周りは家族が仲良く座って食事をしている。
「そうじゃ、他人のことを笑う暇あるのか?牙(キバ)の長男よ」
フォッフォッフォッ、と明日香達の祖父が登場した。
「…じいさん」
「弱気者を侮辱してはならぬ、地下の王が手を貸してくれなかったら我々は皆そうなっていたんだぞ」
「わ、わかってるよ」
「そいでじゃ、明日香よ」
「は、はい」
「相棒の名はなんとゆう?」
「‘月蛍’という子です」
「…うむ、そうか」
あれ?今、驚いた顔をした?
「…夕食を終えたらわしんとこに来い」
、と食事を止めて歩いて行ってしまった。
「…お前、何かやらかしたか?」
「や、やらかしていません!」
、と父に言った。
その後、食事を終えた明日香は祖父の部屋にいた。
「月蛍、と言ったか?」
「は、はい」
「…なら、何が起きてもその月蛍という子の手を離してはならぬ」
「え、えと」
「…わしも確信ではないが、な」
明日香は‘確信ではない’という言葉に首を傾げた。
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