2人が本棚に入れています
本棚に追加
‘私達は多分、あの子を苦しめていた
傷つけたりもした
でも、もっと…もっと早く気がつけばよかったと私は思っていた
だって、今にも記憶の海に溺れそうなあの子をこの手で救えたかもしれないのにっ
あの子は、私達の家族で…私の…’
「…授業を放棄して何を読んでいるのかね?明日香(アスカ)さん」
その声を背後から聴いて本を閉じた。
「!?」
「ほぅ、昔の本だな…」
この先生がこう話している時は随分イラついている、と先輩から言われたことがある。
「能力はA+なのにその他はBとはアンバランスだな」
パ○ポを口にくわえながら喋っている。
よく落ちないなぁ、と周りは観ていた。
「だが、授業放棄はいか「失礼します」」
廊下側のドアのところに青い長袖パーカーを着た生徒が立っていた。
「情報科の月蛍(ツキボタル)です、こちらに強制科の帝優(テイユウ)は来ていませんか?」
「いや?来ては居ないが…また、サボりか?」
「えぇ、英(ハナブサ)教師に頼まれていたものを放棄したんです」
「毎回、毎回、ご苦労なこって…んで?何を頼まれていたんだ?」
「‘各学科の教師達に教師会を開くからいつでも準備をしているように’だそうで」
普段、表情が読み取れない先生なのに、ピクッと瞼が動いたのが観えた。
「…時間は聞いているのか?」
「12時の予定とは聞いてます」
只今の時刻は11時半過ぎ。
「うむ、やつのことだ…どうせ簡単には参加させないようなことを言っていただろう?」
「まぁ、言ってはいましたが…豪気教師に言っていいんでしょうか?」
、とその子は首を傾げた。
最初のコメントを投稿しよう!