第1話

5/9
前へ
/255ページ
次へ
「おいおい、小と中はなんとかなるとして…」 豪気は月蛍という子を見てため息をついた。 「高・大は無理だろう?英は何を考えているんだ」 下手したら…、とまたため息をつく。 「いた!能無情報(クリアノイズ)、頼むからカードを渡してくれ!」 「カードを渡してくれ!」 「頼む!」 くりあのいず?Eランクなのに異名まであるの?と一年達が内緒話で言っている。 私は能力ランクがわかるところを観た。 アンテナマークとアルファベットでEと描かれた腕章があった。 アンテナマークは情報科のマーク。 異名がつくのはS、A、Bのランクだけ。 それ以下につくのは異常なこと。 もしかしたら、月蛍という子は‘Eランク’ではないんじゃないのかな? 「…純白の板に深紅の林檎、今もこの国の国旗」 は?と先生達は首を傾げた。 豪気はあ~、成程と言った。 明日香はあれ?と思った。 この時代に生きている人達は‘国の旗’を見ていない。 この学園だって学園の旗しかない…はず。 あるとすれば、高貴な者達が大切に保管している。 だとすれば、偉い人=校長か理事長… 「この国に国旗なんてあったけ?」 「あるとは聞いたことがあるが…」 「見たことはないなぁ」 「月蛍が持っているはずのカードはそこがあるところに置いてあるってとこか?」 、と豪気が言った。 「…正解」 先生達はドタバタと走って行った。 「風紀科は注意しなくていいの?」 私達は、?となった。 「‘廊下は走らずに歩きましょう’」 、と言って教室を出ていった。
/255ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加