第1話

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「!」 すると千里は何かを見つけ、廊下の窓から何かを言っている。 明日香と愛華は千里に近づいた。 「つーちゃん、伝言ゲームお疲れ様」 向かい側の校舎の屋上の柵にもたれかかっている月蛍がいた。 「…」 「つーちゃんは相手見つかった?」 「…」 「そっかぁ…」 え、今の無言でなんて言っているかわかるの!? 「リクちゃんは?」 「…」 「毎年同じって不思議だね」 「…」 「そうだよ、でも、リクちゃんの静止役はデュラン君だよね」 月蛍は無言のままだが、小さな欠伸をした。 「眠いの?」 「…」 「え?あ、ちょっと待ってて」 愛華の横にいる明日香に千里は聞いた。 「あの番号って見せてください」 「え、あ、はい」 明日香は千里に番号が書いてある紙を見せた。 そして、再び窓の外の月蛍に言った。 「す、凄いね、つーちゃん」 「…」 「え、帰るの?そっか、バイバイ♪」 その間、5分ちょっとだった。 「千里は凄いね」 「え?」 「うん、凄い」 何も月蛍って子は口開いていなかったのに、と私が言ったら千里は首を傾げた。 「え?普通に話しているだけですよ?愛華ちゃんも聞こえていましたよね?」 「うん、そうだね…というか、明日香…大丈夫?」 愛華にこいつ駄目だ目線で見られた。 「なんで、‘こいつ駄目だ目線’で見るんだよ!」 多分、遅かった。 気がつくのが遅かった。 千里にバレたかもしれない。
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