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 いくら部室が暑いと言えど、下級生の冷たい視線を浴びてフィーバーするような変態ではない為、さり気なく話題を横へずらす。 「あー聡美ちゃん?」 「なんでしょうか」  やはり疑問に思う。  何故彼女は俺にだけ冷たいのか、誠不思議である。 「聡美ちゃんってクレープとか好き?」 「クレープ…が、なんですって?」  ん? 聞こえなかったのかな? 「ああ、クレープとか好きかなって」 「透先輩…貴方は本気で聞いているのですか?」 「…」 「クレープ…クレープですよ? あの薄い生地に包まれた生クリームとバナナ、チョコシロップのコラボ作のクレープを、好きか?ですって? 愚か、愚かですよ透先輩。 そもそも貴方はクレープの起源を知っているのですか? あ、いえ答えなくて結構。 当然知りませんよね、知らないからこそそのような愚かな質問が出来るんですよね。 いいでしょう私がクレープの起源から美味しさの根元までみっちり教えてあげましょう。 そもそもクレープというのは――」  何この子…なんでこんなに沢山地雷隠し持ってんの? こわっ…。 「あー、聡美ちゃんがチョコバナナクレープ好きなのは充分に理解できたから少し落ち着いて?」
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