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「いえ、透先輩にだけさせる訳には…」 「いいよ、気にしないで。 聡美ちゃんもゆっくり休んでな?」 「大丈夫です…そ、それに今日の依頼人は女性ですよ? 透先輩の方こそ準備室で休んでいて下さい」  必死になって依頼人の対応をしたがる聡美ちゃんは、なぜか最後は俺に休めと言ってきた。 「そうか、今日は確か二年生の女子だったか…」  依頼人が女子の場合、聡美ちゃんが話を聞かないといけない為準備室に居られちゃ困る。 「んじゃー、今日クレープ二つ買ってあげるから暑いのは我慢してくれ」 「ええ、それなら我慢してあげない事もないです」  口角をあげニヤリとした彼女は、少し大人びて見えおおよそ高校生になりたての女の子が出せる色気の範囲を軽く凌駕していた。  俺と知り合った時は小学六年生だった彼女も、いつの間にか大人になっているのだと気付きほんの少しだけ寂しくなった。
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