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「何を一人でしんみりしているんですか…もう依頼人来ますよ」  そう言われ時計を見るともう約束の時間まで二分ほどだった。 「うし、じゃあ今日もよろしく聡美ちゃん」 「ええ、ヘマはしないで下さいね透先輩」  そんなやり取りが終わった所で丁度部室の扉がノックされる。 「どうぞ、お入り下さい」 「し、失礼します」  相変わらず滅茶苦茶に丁寧な言葉遣いでノックの主に返事をする聡美ちゃんに対し、返って来たのは気弱そうな声。 「あー、ようこそ恋愛部へ。 恋愛部部長の佐藤透です」 「さっ、ささ佐藤君!?」  俺が挨拶した瞬間、依頼人の声が部室に響き渡った。 「あーいや、そんなに驚かないでも…」 「だって、えっ? 佐藤君…?だよね?」 「松井わかった、わかったからとりあえず座ろうか」  俺がそう言うと依頼人、松井 藍蘭は少し落ち着きを取り戻した様で軽く頷き腰を下ろした。
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