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「えー、ではまずお名前を――」
「――ちょっとたんま!たんまだよ佐藤君!」
なにもなかったかのように話を進める俺に、焦りと困惑でいつものおっとり口調が崩れた松井が待ったをかける。
「あー、なんだよ?」
「いや、だって…ねえ?」
ねえ? と言われても俺には全く伝わらない。
「いや、なにがねえ?なのかわからん」
「えっ、だって私…佐藤君が恋愛部の部長なんて聞いてない…」
「そりゃあ言ってないもの」
新入生への部活紹介やビラ配りなど表立った事は、美女とイケメンであり副部長である花憐姉さんと達哉に任せているため、校長以外の教師陣や生徒達は恋愛部の部長はあの二人のどちらかだと思っている。
まあ部員達も自分が恋愛部の部員であることを極力言わないと約束しているので、依頼人になった生徒以外は恋愛部の部員を花憐姉さんと達哉しか知らない。
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