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「そ、そういう事ではなくてですね…」
ここまで頑なな松井も珍しい。
普段は人柄がよくおっとりしているせいか人に流されやすい松井だが、余程恥ずかしいのか中々話そうとしない。
「あのな、松井。 俺達恋愛部は誰の依頼でも請ける訳じゃない」
「えっ?」
そりゃあこんな事を言われたら誰でもそんな反応をする。
だが依頼人の中には勘違いしてる奴が多いのも事実。
「俺達は依頼人から相手の話を聞き、依頼人の誠意と恋心が伝わったら依頼を請ける
依頼人の中では恥ずかしいから話せないと言って帰る人も大勢いるし、本人がそう言うなら俺も止めはしない。
だからこれは友人として言わせてもらうが――」
恋愛部が力を貸すのはあくまで“自分の一歩で現状を変えたがっている依頼人”であり、他人の力で誰かと付き合いたい人はお呼びじゃない。
「――松井の恋愛は松井自身の力で叶えるものだ。
それがわかってるならここで一歩、踏み出してみろ。 松井が自分で前に進む気がないと俺達は背中を押してやることなんて出来ないよ」
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