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 松井は俺が言い終わると顔を真っ赤に染めながら、しかししっかりと話始めた。 「あ、あの…気になっている人がいて、その、名前は佐藤君には…」 「ああ、名前は後で聡美ちゃんに言ってくれ」  そう言うと、小さく安堵の息をもらし話を続けた。 「その人とは一年の頃に知り合って、最初は挨拶程度だったんだけど会話が少しずつ増えていくにつれて…その、す、すすす好きにっ、なってたというか…  そ、それでその人とは…」  一旦そこで心を落ち着かせるように深呼吸し俯くこと数秒。ふっと息を吐き俺と目を合わせた松井の顔はどこか吹っ切れたものだった。 「その人とはもっと…もっと親密になって付き合いたい!」  もう既に告白しましたと言わんばかりのその表情からは相手への気持ちがひしひしと伝わってきた。  しかしこいつとは知り合って一年の付き合いだがそんな想い人がいるとは思わなんだ。  それに学年で人気の美少女に好かれるとか、どんなイケメンなんだと気になりはするが野次馬根性よりも部長の尊厳を優先する俺も中々のイケメンだと思う。 「そうですか、わかりました。 では次に…」 「まだ何かあるの…」
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