8人が本棚に入れています
本棚に追加
「隊長!」
「遅くなった! この子を!」
「了解!
さぁ、この車の中へ!」
そこにいた他の隊員たちが、女の子をすぐに車へと誘導する。
「待って! パパも!」
「それはできない。」
「! パパ…?」
と、女の子の父親である隊員は、すぐにその車の隣にある『光弓』へと向かう。
「まって、パパ! 行っちゃダメ! 死んじゃうよ!」
「…ごめんね、オユ。
でも、パパは戦うのが仕事なんだ。」
「パパ!!」
「オユ! わかってくれ!」
「ヤダヤダヤダヤダ!! 嫌―――――――ッ!!」
必死に駄々をこねる女の子に、少しだけ悲しげな笑みを浮かべるその隊員。
―――すでにこの時、もうかなり近くまでターリエロンは来ていた。
見ずともその圧倒的熱量と、破壊的な足音でわかるほどに。
「……オユは、いつもパパの制服姿がかっこいいと、人を守るために戦うのがかっこいいと言ってくれたね…?
…なら、かっこいいパパの方がいいだろう?」
「やだぁ!! パパ、行っちゃやぁだぁぁぁぁぁ!!!!」
泣きじゃくる女の子に、少しだけ優しく微笑み、そっと頭をなでる隊員。
「……この子を、頼む。」
「…隊長、自分が、」
「君は君の仕事をしたまえ。
私は…私の仕事をする。」
「あ!」
そして、それだけ言って、素早く『光弓』へ乗り込む隊員。
「ヤダ! まってパパ!」
「オユ! 帰ってくるから、いい子にしてなさい!」
そして、そのまま、怪獣へと向かい、発進していく。
「いや――――――ッッ!!!」
他の隊員たちに車に乗せられながら最後に見たのは、先進波冷却メーザーを放ちながら向かっていく戦車の後ろ姿だけだった。
最初のコメントを投稿しよう!