第1話:隙(スキ)

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「簡単には忘れません。 瑠樹さんにとっては大事な話でしょ? 僕は話しを聞く事しかできませんけど、 それでも良ければいつでも聞きますよ。 朝まで飲むのもお付き合いしますし」 「ありがとう、助かる」 「気にしないでください。 僕、明日休みなんで」 「そっか。じゃ朝まで付き合え」 「はい。 是非、お付き合いさせてください」 「おぅ。サンキュー。 ってか、これどうしようか……」 前髪に触れるとくすぐったいのか ニヤニヤ頬が緩んでいる。 この人はいつみても32歳には見えず、 どちらかと言うと手のかかる妹。 俺はただ美羽【ねぇちゃん】に 【幸せ】だと笑ってほしい。 ただそれだけなのに…… 【神様】はいつまで経っても 俺の【願い】を 【聞き】入れてはくれない…… カランカラン 「お帰りなさいませ!!」 来客が来た事を知らせるベルが鳴ると 出迎えの人達が声を揃えた。 「たぶん鈴華様だと思いますので 瑠樹さんは居てください。 お姉さんは僕が仮眠室に運びます。」 「あぁ頼んだ」 モテないと嘆いていた姉貴が お姫様抱っこをされいるなんて 本人は知らない。 知ったら照れながら怒られそうだ。 でも案外イケメンに弱いから そのまま大人しくなったりして。
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