第1話:隙(スキ)

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「僕でお役に立てて良かったです。 この辺りのブティックは10時から 営業開始ですから、融通が聞く店に 電話して開けてもらわないと、 間に合わないですからね」 「レシートは?」 「あとで渡します。 それより、お姉さんの方は 大丈夫なんですか?」 「いや~今は大丈夫じゃないと思うよ」 「ですね。 あっ、荷物ここに置いておきますね」 ソファーに荷物を置くなり、 昨日自分達が飲み散らかした物を 燃えるごみ用の袋に摘め始める。 その姿を横目にビール缶を机に置き 足の踏み入れ場所を作った。 「それにしてもビールジョッキ2杯で あそこまで酔うとはもう歳かね?」 ガチャ 「だーれが歳だって!?」 不機嫌で出てきたねぇちゃんは 大地と顔を合わせ、 「あっ、どうも」 声をかけられるなり、 また静かにトイレに戻っていった。 「何やってんだよ!!早く出てこいよ!! それこそ時間なくなるだろ!?」 「1時間もあれば余裕だもん!!」 思わずソファーを乗り越えトイレの ノブを回してみるが中から鍵をされ ガチャガチャ音がするだけで何度か ドアを叩いた。 「いいから出て来いよ!!」 「あんたばっかじゃないの!? こんな顔で出れるわけないじゃない!!」 「気にすんなよ!! カウンターで寝たねぇちゃんを ここまで運んだのは大地だし、 昨日ねぇちゃんの寝顔も見てんだよ!! 今さら恥ずかしがることねぇじゃん!!」
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