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「俺って、リア充だな」
此花優也は、眠たい眼を擦りながらポツリと呟いた。
カーテンの隙間から注がれる朝日に目を細め、先程から震え続ける携帯電話を手に取る。
優也がそんな風に自分を讃えた(?)のは、ある一点に尽きていた。
友人も多いわけではなく(むしろ数えるくらいにしかいない)、高校生らしく部活動に汗水垂らしているわけでもない。勉強面は優秀であったが、それで周りから頼られて試験前は人気者になる――ということもない。。
優也が自分をリア充認定するのは、たった一人の幼馴染の存在だった。
「もひもひー?」
寝返りを打ちながら丸まった状態で電話に出ると、一日の始まりを告げる元気な声が優也の耳に届いた。
『おはよー優ちゃん! 朝ご飯食べた? もう支度してる?』
「ううん、まだベッドの中」
『もう、優ちゃんはいつも朝弱いんだから』
声の主は、少々ムスっとしたように声を漏らす。
だが優也には、彼女が怒っているわけではないというのは分かっていた。
「起こしに来てくれ、鍵はいつものところにあるから」
『はーい。すぐ行くからちょっと待っててね?』
「うい」
一言も不満を漏らすことなく電話を切った彼女の対応に、優也はやはり自分はリア充なのだと再認識する。
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