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カツ、カツ、カツ
規則正しく響くローファーの音。
さらさらした黒髪に長い睫毛。
ザワザワとざわめく生徒達。
注目の集まる“彼”の少し斜め後ろを歩きながら、これからこの美し過ぎる悪魔に引っ掛かる生徒達を捜す。
「洸」
「はい、紫苑様」
「呼び方」
注意されてハッとする。
設定は“転校初日の高校生の弟とそれを見送る大学生の兄”らしい。
ならば様付け等は赦されない。
「ごめんな、どうした?」
同い年なのだから本当は一緒に転校しても良い…寧ろ旦那様はそれを望まれたのだが、紫苑様はそれを赦さなかった。
“それではつまらない”と。
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