circumstance1

2/25
前へ
/29ページ
次へ
カツ、カツ、カツ 規則正しく響くローファーの音。 さらさらした黒髪に長い睫毛。 ザワザワとざわめく生徒達。 注目の集まる“彼”の少し斜め後ろを歩きながら、これからこの美し過ぎる悪魔に引っ掛かる生徒達を捜す。 「洸」 「はい、紫苑様」 「呼び方」 注意されてハッとする。 設定は“転校初日の高校生の弟とそれを見送る大学生の兄”らしい。 ならば様付け等は赦されない。 「ごめんな、どうした?」 同い年なのだから本当は一緒に転校しても良い…寧ろ旦那様はそれを望まれたのだが、紫苑様はそれを赦さなかった。 “それではつまらない”と。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加