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後ろ手に手をひらひらさせて、教室を出る。 俺たちの教室は二階にある。 屋上まではあと三階登らなきゃだ。 …辛い。 三階半くらいになった時に鐘が鳴った。 授業が始まってる校内はとても静か。 それのせいか、頭が俺の苦手な考えることに集中し始める。 新しく増えたヒントの『手』。 隙あらば候補に挙げた人間の手をさりげなく、さりげなーく見たけど、ごつかった。運動してる奴の手だった。 中には細くて綺麗な指をしてる奴もいたけど、違う。 俺の直感が語っていた。 「……クイズみたいだ」 クイズは、苦手なんだけれど。 ポケットからキーケースを取り出して、数ある中から一つの鍵を出す。屋上の鍵だ。 こっそり学校専用の屋上の鍵を粘土にぺたりと…それから鍵屋さんで作ってもらった唯一無二のもの。 重たい鉄製の扉を開けて、五月の風を全身に浴びる。 今日は少しいつもより太陽が強いのか、日がさんさんとしていて目が痛い。 思わず閉じてしまった目を開けたら一つの人影。 やば。 見つかったら終わり。 生徒は多分俺以外は入れないから、多分先生。 しかも、立ち入り禁止。ここ、立ち入り禁止。 だけど、そんな俺の願い虚しく。 人影は俺を映した。
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