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「いや、だから、まあ、ま、まあ、確かに否定はしませんけど。否定は、しませんけど。………とっ、とととととりあえず時間!俺夕飯食い損ねる!」
無理矢理話題変えた感じはありありだけど、この状況を打破するにはこれしかない。
さりげなく本音を入れたけどね!
夕飯云々なんて半分本当半分嘘だけど、いつまでたっても学校にいたら警備員に捕まっちゃうから。
「………ふふ、なら、いいよ、どいてあげる。………そのかわりその言葉、絶対忘れちゃダメだからね」
ふっ、と、体の上にあった重みが消えた。
……なんか、…なんだろう、見つけたくなくなってきちゃった。
見つけたら、速攻で襲われそう。
制服を整えて、ポケットからスマホを出す。
時刻は夕飯が丁度始まった頃。
じゃあ俺がうたた寝してたのは少しだった、ってことか。
「そろそろ帰るな。秋川先に出る?」
「………いいよ、君が先に出て。………オレは少し、ピアノ弾いてくから」
「…そっ、か。分かった。じゃあ俺、帰るな。…また、明日」
秋川のピアノをまだ聞きたいというわがままと、最後に少しだけキスがしたい、なんて。
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