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暗闇だから無理か、と思って、仕方なく腰をあげて閉められた鍵を開けた。時。 背中に、温かい温もり。 秋川の甘いフレグランスの香りが俺を包んだ。 「………顔がどこか分からないから、今日はこれでバイバイね」 耳元で囁くの、好きだねー。 生憎ながら、俺が弱いのはそこじゃない。 まあ、秋川の声は落ち着くから好きなんだけど。 俺は体を無理矢理反転させて、 「!」 「じゃっ、じゃあなっ!」 一回、ぎゅってしてから、扉を開けて帰った。 後日談。 「夜の学校ってちょっと怖い」
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