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当の本人はすっごい呑気にしてるけど、俺は素晴らしいことに気づいた。 きっとこれは秋川がくれた、唯一のヒントじゃないのか、なんて。 この文脈からは何のヒントも得られない。 だけど、“字”というヒントを、俺は貰ったのだ! あと、背が高いっていうのもあってたみたい。 髪色は?肌の色は?なんて大輔に聞きたいけど、これも俺の中での葛藤を終えた結果聞かないことにした。 今、俺が持ってるヒントは、『身長が高いこと』『字が大人のように達筆だということ』それから……『甘いフレグランス』。 この三つ。 …って。 「無理だ」 先が見えない。 どう考えても無理だ。 教室内で名前を呼ばれてもいいものの、秋川という名を教室内で聞いたことがない。 先生が指すわけでもなし、友達に呼ばれるでもなし、まさか唯一出席をとる古典でさえも名前を呼ばれないとは。 一体何があったんだ。 あれか、幽霊なのか、己は。 あーっと自分の中で悶える。 やりきれない感情が暴れてる。 「…秋川の奴め……!今に見てろ!絶対見つけてやる!」 四時間目はもちろん、爆睡。
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