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………………一瞬、息を飲んだ。
それが反省文に恐れたものか、はたまた説教に恐れたものかはわからない。
もしかしたら、また、別のものかもしれない。
…例えば、綺麗なものを見た時とか。
まさに今が、そう。
色素が薄いのか、首の白い肌は日に照らされて。
茶色がかっている髪の毛は五月の風に乗ってそよそよと。
ーーー先生じゃない、生徒だ。
俺の唯一無二だとおもっていた屋上の鍵がさらに存在していたなんて。
余裕こいて悔しがってみて、ばれないように盗み見する。
……背の高い、“女の子”かと思った。
違う、目の前にいるのは“男”だ。
男の制服を、着てる。
ーーードキッ
秋川というかっ…彼氏が、いながら、不覚にも俺は心臓が高鳴ってしまった。
罪悪感に心を浸し、この音を無かったことにするかのように話しかけた。
「サボり?」
風邪でも引いたのか視界を外に戻し、返事を声で出さない代わりに頷いた。
近くでみると、余計綺麗だ。
…いかんいかん、黙れ心臓め。
これ以上は心臓に悪いし、何より秋川に悪いと思って距離をある程度空けてコンクリートに座った。
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