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○●○●○ 『それ、本当に行くの?』 電話から市井萌(いちいもえ)の呆れた声が溢れる。 「今の私は、藁にも縋る思いなのです。」 『怪し過ぎる! あれだよ、アンタは童顔だからセーラー服とか着せられてさ。じゃあ、ちょっと脱いでみようか?なんて言われるパターンだよ。』 「えぇ~っ?!考え過ぎだよ。」 『アンタが無防備過ぎなの。いやぁ、これだから都会は恐いね。』 大学の演劇部で同期だった萌は、私の一番の理解者だ。 彼女は地元でお芝居を続けていて、週に一度は電話で互いの近況を報告し合う。 .
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