355人が本棚に入れています
本棚に追加
○●○●○
『それ、本当に行くの?』
電話から市井萌(いちいもえ)の呆れた声が溢れる。
「今の私は、藁にも縋る思いなのです。」
『怪し過ぎる!
あれだよ、アンタは童顔だからセーラー服とか着せられてさ。じゃあ、ちょっと脱いでみようか?なんて言われるパターンだよ。』
「えぇ~っ?!考え過ぎだよ。」
『アンタが無防備過ぎなの。いやぁ、これだから都会は恐いね。』
大学の演劇部で同期だった萌は、私の一番の理解者だ。
彼女は地元でお芝居を続けていて、週に一度は電話で互いの近況を報告し合う。
.
最初のコメントを投稿しよう!