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だけど、そこにあったのは恋愛感情なんかではなくて。
弟のように接する私に、彼はずっと不満を抱いていた。
何ヵ月経っても手を握るのが精一杯。
踏み込もうとする要君をあからさまに拒絶する。
『ごめん……。』
私を庇うような彼の苦笑。
傷付いているのは彼の方なのに、それを隠す作り笑いに落ち込んで。
そんな調子で3ヶ月程経ったある日。
珍しく真剣な表情で、私を壁際に追い込んだ要君は、感情の消えた声を吐き出した。
『宇多さん、俺のこと男だと思ってないでしょ?』
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