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彼は小さく息を吐くと、サクラさんを見据えた。 「サクラ。俺はお前の指図は受けない。俺がコイツをオーディションしようが、お前は口出しできる立場にはない。 俺のやり方が気に入らないなら、いつでも出ていけ。」 「…………はい、すみませんでした。」 下唇を噛みながら、苦々しい声を絞り出した彼女は、居たたまれずに稽古場を出ていった。 しんと静まり返った稽古場に、片桐圭吾と二人きり。 気まず過ぎなんですけどっ! 彼は、背負っていたワンショルダーリュックを下ろすと、ホチキス留めされたコピー用紙をこちらに放り投げた。 .
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