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○●○●○ 辺りが夕焼けで真っ赤に染まる頃。 漸く到着した私の住むアパートの前で、地べたに座り込んで項垂れる懐かしい姿を見つける。 何と声を掛ければいいか解らず、少し離れた場所で立ち止まると。 「早く行ってやれ。」 圭さんはそう言って、私の背中を押した。 その声に弾かれるように顔を上げた要君が、慌てて立ち上がる。 「……宇多さん。」 絞り出された声と、今にも泣き出しそうな笑顔。 私に向けられる優しさは変わらなくて、胸が軋む。 一緒の劇団でお芝居を作ってきたのだ。 彼の真っ直ぐでブレない性格を解っていながら、私は終わらせることもせずに、自分勝手に逃げ出してしまったのだ。 .
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