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「どうして宇多さんなんですか?片桐さんなら他にいくらでもいますよね?」
「要君、これは私達の問題で、圭さんは関係ない。」
「宇多さんは無防備なところがあるから気付いてないだけなんですよ。
この人が本気な訳ないじゃないですか。適当に遊んで捨てるつもりですよ。」
要君は、私の目を覗き込んで懸命に諭す。
「……おい。」
深い溜め息を吐いて、圭さんが口を開く。
「自分の行いを棚に上げて、好き勝手言うな。
お前の言うように、俺が宇多をたぶらかしたとしても、お前がしっかり掴まえていたならば問題ないはずだ。」
「俺は……。」
「大体の事情は宇多から聞いた。宇多はお前から逃げたのだと自分を責めたが、それは宇多を放っておいたお前も同じだろう。」
「違う!
俺は時間が必要だと思っただけで―――。」
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