356人が本棚に入れています
本棚に追加
「どちらにせよ、お前は選択を間違ったんだ。
本当に宇多が好きなら離れるべきじゃなかった。」
「……。」
言い返すことも出来ず、唇を噛み締めて俯いた要君が不憫で、息が苦しい。
重い沈黙に為す術もなく、口を閉ざした二人の間で身を固くする。
オレンジ色の空を浸食し始めた群青が、私達に柔らかな影を落とすと。
要君は、私を真っ直ぐに見つめて言った。
「……俺は、今でも宇多さんが好きです。
片桐さんの言うように俺は間違ったかも知れない。
だけどもう一度チャンスを貰えませんか?
今度は絶対に逃げたりしませんから!
宇多さんを絶対に幸せにしますから!」
.
最初のコメントを投稿しよう!