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「……誰?」
「あのっ、今日はオーディションで……。」
急いで立ち上がり頭を下げると、彼は爽やかな笑みを浮かべて近付いてきた。
「あぁ、君がサヤさんの、ね。
はじめまして。麻生大輔(あそうだいすけ)です。」
「はじめまして!品川宇多と言います。」
差し出された手を握り返すと。
「気を付けろ。妊娠するぞ。」
片桐圭吾の冷めた一言に思わずバッと手を離す。
「圭さん、ひでー。
宇多ちゃんもね、手握られただけで妊娠する訳ないでしょ?」
彼はスゥーッと私の頬を撫でて、最後に軽く鼻を摘まんだ。
手慣れた仕草に、片桐圭吾の言葉も頷ける。
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