355人が本棚に入れています
本棚に追加
またドアが開き、眉間に皺の残るサクラさんが、ツカツカとこちらに向かってくる。
威圧感に後ずさると、彼女は咳払いを一つ。
「さっきはごめんなさいね。
私は劇団rushで演出助手をしている佐倉瞳(さくらひとみ)です。」
「品川宇多です。宜しくお願いします!」
「今回のオーディションの話が大輔君にしか伝わってなくて……。
もう始まると思うから。」
彼女は、片桐圭吾をチラリと見ると、彼の物であろうディレクターズチェアをデスク脇から引っ張り出してセットする。
「始めるぞ。まずはシーン6から。
立ち位置や動きは各々に任せる。適当に合わせろ。」
.
最初のコメントを投稿しよう!