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またドアが開き、眉間に皺の残るサクラさんが、ツカツカとこちらに向かってくる。 威圧感に後ずさると、彼女は咳払いを一つ。 「さっきはごめんなさいね。 私は劇団rushで演出助手をしている佐倉瞳(さくらひとみ)です。」 「品川宇多です。宜しくお願いします!」 「今回のオーディションの話が大輔君にしか伝わってなくて……。 もう始まると思うから。」 彼女は、片桐圭吾をチラリと見ると、彼の物であろうディレクターズチェアをデスク脇から引っ張り出してセットする。 「始めるぞ。まずはシーン6から。 立ち位置や動きは各々に任せる。適当に合わせろ。」 .
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