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パンッ! 「そこまで!」 片桐圭吾が手を叩き、シーン6は中断された。 「無粋なところで止めないで欲しいな~。お互い乗ってきたところだったのにね。 ……って、大丈夫?顔、赤いよ?」 「わっ!だ、大丈夫です!」 ボォッとする私の顔の前で、手をヒラヒラさせる大輔さんは、心配そうに眉を寄せた。 ……普段とのギャップ、大き過ぎるでしょ! いや、本当。 萌がすぐに共演者に惚れる気持ちが、今日初めて解りました……。 オーディションとは別のドキドキに、大きく深呼吸して気持ちを落ち着かせる。 「……おい。」 おい。 この中で、そう呼ばれるのは私だけ。 片桐圭吾の呼ぶ声に、はいっ!と返事をすれば。 白い目でこちらを見る彼の表情に、背中を汗が伝う。 .
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