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「……お前、恐ろしく下手だな。」 延髄蹴りを食らった方が、まだましだ。 だって身体の痛みはいつかは消える。 だけど。 心の痛みは一生消えないんだよっ! 「……そんなこと、貴方に言われなくても百も承知です。」 大体、私の技量も知らないままにオーディションに来いと言ったのは、片桐圭吾の方だ。 あまりにカチンときて、つい本音が溢れる。 「ぶっ!圭さんに口答えするなんて、宇多ちゃん良い根性してるよね。」 派手に吹き出した大輔さん。 片桐圭吾が目を丸くして私を見る姿に、佐倉さんまでこっそり隠れて笑いを堪えている。 .
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