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「大輔!」
怒鳴り声に近い片桐圭吾の呼び掛けに、しれっとした態度で私に微笑みかける大輔さん。
「宇多ちゃん、唇柔らかいね。」
「大輔!」
「そう怒んないで下さいよ。サヤさんの時だって―――。」
「無駄口叩かず、さっさとこっちに来い。」
大輔さんがデスクに凭れると、片桐圭吾が側に寄り、密談でもするかのように二人が小声で話し始めた。
私はと言うと……。
演技とは言え、ト書きに書かれていなかったその行為に、少なからずショックを受けていて。
二人が真剣な表情で話しているのをボォッと眺めていた。
不意に大輔さんと目が合い、彼は片桐圭吾に話し掛けながらも私に向かって笑みを見せた。
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