20/26
前へ
/321ページ
次へ
「大輔!」 怒鳴り声に近い片桐圭吾の呼び掛けに、しれっとした態度で私に微笑みかける大輔さん。 「宇多ちゃん、唇柔らかいね。」 「大輔!」 「そう怒んないで下さいよ。サヤさんの時だって―――。」 「無駄口叩かず、さっさとこっちに来い。」 大輔さんがデスクに凭れると、片桐圭吾が側に寄り、密談でもするかのように二人が小声で話し始めた。 私はと言うと……。 演技とは言え、ト書きに書かれていなかったその行為に、少なからずショックを受けていて。 二人が真剣な表情で話しているのをボォッと眺めていた。 不意に大輔さんと目が合い、彼は片桐圭吾に話し掛けながらも私に向かって笑みを見せた。 .
/321ページ

最初のコメントを投稿しよう!

355人が本棚に入れています
本棚に追加