3/17
前へ
/321ページ
次へ
「また、落ちた……。」 決まっていた大手銀行の内定を蹴り、家を出ると告げた時の両親の呆れ果てた顔が甦る。 『アンタがお芝居で食べていける訳ないじゃない。』 溜め息と共に投げられた冷たい視線は、今の状況を予測していたのかも知れない。 家を出てから1ヶ月。 選り好みしなかったのもあり、すんなり受かったバイトはこのセルフカフェの系列店。 だけど。 劇団の大小問わず受けまくった肝心のオーディションは、二次審査にすらに残れない。 「……何しにきたのよ、私。」 コピー用紙をクシャッと丸めると、チラシの山に目を移す。 .
/321ページ

最初のコメントを投稿しよう!

356人が本棚に入れています
本棚に追加