会いにきたよ

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「わたし…」 言葉が続かない。 喉元まででかかっているのに、それらを音にすることができない。 …やっぱり怖いんだ、まだ。 でも。 こんなわたしでもいいって言ってくれた。 弱くても前に進めるって言ってくれた。 大丈夫、大丈夫って。 金色の“ひかり”はわたしを照らしてくれた。 決めたの。この道を進むって。 だから、だから。 わたしは、今、 変わる。 変わりたい。 「わたし…」 声が震える。 伝えなきゃ、わたしのひかりに。 「亜理砂」 頑張れ。 彼のその言葉を聞くと同時に、言った。 「わたし、自分の道を進む。一生懸命、頑張ってみたい。」 少し小さめの声がでた。 やだな、ちゃんと伝えたかったのに。 こんな情けなく、弱々しく言いたくなかった。 ちゃんと、聴こえたかな。 わたしの覚悟、分かったかな。 「亜理砂」 「……」 「頑張ったね。本当によく、頑張った」 彼のその言葉が聴こえたと同時に ぎゅって、抱きしめられた。 優しい、温かい、彼の体温。 「大丈夫。ちゃんと伝わったよ、君の覚悟」 「……っ」 「君が真っ直ぐ歩けるように、道を示すから。だから安心して。君は前だけを見て」 「……うん」 「今僕にいったその気持ち、忘れちゃだめだよ」 「……うん」
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