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ニヤニヤと笑う瑠香奈は、少し不安そうな春兎をみると、よりにやけるのだった。
「まあ、こんな都市の入り口らへんで、いつまでも立ってるのもなんだから、今日からお前が住む場所となる寮に案内するからついてこい」
そういうと瑠香奈は、本を積み上げてできたような本屋通りすぎ、不思議な草花が並ぶ花屋の横路地へと入る。
路地裏は、人が二人並んで歩くぐらいのスペースしかないが、綺麗に清掃がいき通っており、一定の間隔で小さな丸いランプが壁へと掛けられていた。
「裏路地なのに、ずいぶんと手がいきとどいてますね」
「まあな、それにここは区画の治安もいいからな」
「なるほど、それはつまり悪い場所もあるってことですね」
「まあ都市全体で42区もあるんだから1つや2つは問題がある場所はでるもんだ、ほら出口だ」
二人は路地裏を抜け出ると、蒼い海が一望できる場所へとでる。
海風が潮の匂いと一緒に波打つ音を運ぶ。
それに紛れ込むかのように、音もなく真っ白な電車が上を通り過ぎて行った。
「丁度だな、ほらいくぞ」
瑠香奈は電車を確認すると、電車が向かった先でもある歯車で出来上がっている建物へと向かう。
瑠香奈は、ゲートへと向かうと、二人分のチケットらしきものを認証を行う装置へとかざし終えると、春兎に向かってチケットを放りなげた。
二人はゲートをくぐり、建物の内部へと進む。
建物はドーム状のステーションとなっており、先ほどの電車に乗っていたと思われる乗客で溢れていた。
奥の方には、大きく円形に開かれた窓のようなものがあり、近くには先ほど見た電車が止まっていた。
「あれに乗るんですか?」
電車は、丸みのある真っ白いボディ、先頭の部分には丸い大きめのライトがついており、それ以外はなにもなく、シンプル過ぎる作りになっていた。
「そうだ、ぼさっとしないで、ほら乗った乗った」
瑠香奈に背中を押されながら春兎は電車へと乗り込む。
電車へと入りこんだ春兎に最初にまっていたのは、ぐにっという柔らかい感触と少しだけ沈む右足だった。
「うわ! なんですかこれ!」
「あははは! 驚いたか! これぞセブンスアークでしか味わえない、マシュマロのように柔らかい電車のマシュ号だ! 凄いだろイスとかも柔らかくて、座り心地がいいんだ」
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