4人が本棚に入れています
本棚に追加
そういうと、瑠香奈は開いていた席へと座りこむと、緩んだ顔へとなる。
「俺は、なんか落ち着かないんですが」
「まあ座ってれば慣れてくるって」
そういわれた春兎は、不慣れな感じで席へと座り込むと、体は沈みこみ、柔らかな席に包み込まれる。
ホームの方から出発のアナウンスが発せられると、電車のドアは静かにしまる。
軽快な発射の合図を2回響かせると、マッシュ号は、薄らと見えるガラスのような線路に沿って、空中を走りだした。
「空を走ってるみたいですね」
「都市全体を一望できたりするし、椅子はふっくらと柔らかいし、最高だろ! 難点としてあまりの気持ちよさに寝過ごしたりすることがあるのがな……」
「確かに眠くなりますね」
春兎はそういいながら、電車の窓の外を眺めた。
浮かんでいるせいもあり、少しばかり小さく見える都市は、まるでおもちゃの世界にも見え、不思議に感じる。
気づくと、先ほど自分たちのいた場所はかなり遠くへとなっていた。
「まあ寝てる暇なんてないんだけどな、あと少しでついたりするぞ」
「もう着くんですか? かなり早いですね」
「先お前がぼっとタワーをみていた場所が第1区だ。都市の7つある入り口の1つでもあり、バスや電車、船といった交通機関などが集中している場所で、あともう少しで着くのが第5区、お前が住むことになる寮がある場所な」
「都市全体を覚えるのには少し時間がかかりそうだな……」
「ふふふ、少しの時間で覚えきれるといいがな」
瑠香奈は意味ありげに笑うのだった。
「瑠香奈師匠なにかあるんですか……」
「それはあとでわかるよ、ほら着くぞ」
電車は、音を発てることもなく静かに停車した。
最初のコメントを投稿しよう!