其の壱

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今、俺は映画を観に来てる。 勿論、二人でだ。 クリスマスにカップルで映画。 なんともありふれた構図。 早めに自己紹介を済ませておかないとな。 俺は、「不動山 莉桜(ユスルギ リオ) 24歳、既婚者」 女みたいな名前だから昔は、よくからかわれた。 しかも、名字が名字だ。 強くもないのに期待されても… あと、一緒に映画を観にきた相手の紹介だ。 分かってる奴は、もう気付いてるだろうな。 不倫相手じゃあないぞ? 俺の自慢の妻だ。 折角だし自分で紹介してもらおうか 「ほら、紹介。」 「え、ぅうん…婚約前の名前がいいかな?」 「ん、そうだな。ほれ早く」 うん、私は「叶乃 刹那(カナイノ アト) 24歳、既婚者」 お父さんが数学大好き人間だからこんな名前に… 名前のせいか背も伸びなかった… 今は、不動山 刹那(ユスルギ アト) 「婚姻届、役所に持っていった時の所員の顔 今、思い出しても笑える…フフ」 「もぉーそれ思い出さないでよ。」 「いいだろ?最初、未成年と思われるわ、名前、逆じゃないですか言われるわ…俺の方が迷惑したんだからな?」 「うるさいなぁ、もう あのまま、捕まってた方がよかったんじゃないの?」 「お?それも言っていいのかね~」 「言うなー!言ったら、映画見ないよ!」 「おーそりゃ、大変だ。 映画見ないだけで許してくれるなんてな。」 「言うつもりなんでしょ? ‥‥食らえ!弾けトウモロコシ!」 「止めろ、もったいない。」 「ゴメン…あ、時間だ。」 「ぅえ?ぁあ、上映時間か」 話題の映画を満喫してもらっている間に 二人の過去の御噺を・・・ ───────── ────── ─── ─
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