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切っ掛けは中学3年の夏休み。
「将輝(マサキ)、稜清(リョウセイ)学園に行ってちょうだい」
家の自分の部屋で夏休みの宿題をしていたら突然、母親がやってきて言ってきた。
「は?」
突然の事にきょとんとしていると、四十代には見えねぇ可愛らしい顔に、怒ったような表情を浮かべる母親。
年甲斐もなくプクゥっと頬を膨らます母親は、子持ちには見えねぇし、迫力も全くない。
「だから、稜清に行ってほしいの!」
「なんでだよ?」
呆れながらも仕方なく尋ねると、まだ行くとも言ってねぇのに、母親はぱぁっと表情を明るくする。
そんな母親を見て、ガキか…と思ったのは言うまでもない。
「実はね、稜清学園は設備も充実してるし、寮制だから自立もするって聞いたのよ。偏差値も、とても高いらしいのだけど、将君なら問題ないでしょ?」
なんて嬉しそうに語る母親。
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