7章

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P108 おねが~いなシーン 4人(四季を上目遣いで見つめながらおねがいをする3人) 服装:四季と嗣人はP105参照、帆乃とみな美は自由。みな美はメイド服 一時停止から解放されたように、先輩と僕はすばやくガラス片を片付けた。 玄関からは、ドアを開ける前からみなみさんの騒がしい声が聞こえる。 先輩は、まるでゴジラが来たぞ、と言わんばかりの顔で僕を見つめた後、玄関の鍵を開けた。 「突撃!隣の朝ごはん!」 僕たちの顔を見るや否や、みなみさんと帆乃ちゃん先生が、口を揃えて言った。 みなみさんはノリノリ。帆乃ちゃん先生は渋々といった感じだった。 二人は部屋に上がり込むと、我が物顔でベッドに座り、口々に用件を話しだした。 「なぁなぁ、明日バーベキュー行かん?海行こや海。うちとほのちんだけやなんか寂しいやん。なぁ、一緒行こうやぁ」 「お願い、2人だけでバーベキューなんてしてたら、浜辺に虫けらみたいな男がいっぱい寄ってくるのよ。それにせっかくの夏休みに引きこもりなんて、不健康よ。 夏の思い出作りましょうよ」 思い出。その言葉に僕は反応した。 「ダメダメ、こいつまだ病み上がりなんだし」 予想通りというべきか、先輩は二人の誘いを断った。 しかし、僕は行きたい。ここで黙っておくわけにはいかなかった。 「えーっ、行きたい。僕は行きたいなぁ」 「なんで?」 先輩が聞く。苦々しい顔で。 「え?だって楽しそうじゃん」 僕はあっけらかんと言った。 「コキ使われるぞ?」 先輩が僕の耳元で言う。 成程。先輩が苦い顔をしていたのは、それが原因か。 僕はクスリと笑い言った。 「先輩だけがね。ねぇ、ダメ?おねが~い」 そして僕は“お願い”する。得意の上目遣いで。 「おねがーい」 他の二人も、僕に便乗するかたちで、“お願い”をした。マリア様にお祈りするときの格好だった。 「わかった、わかったよ、明日ね。明日行けばいいんでしょバーベキュー」 “お願い”に耐えられなくなった先輩が、自棄を起こしたように言った。 かくして僕は、先輩と思い出を作るチャンスを、得ることができたのだ。 image=477402073.jpg
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