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P83
嗣人(P81と同じ服)
嗣人の部屋
四季の布団で、丸まって眠っている嗣人くん(猫みたい)
↓↓以下文
俺は思わず吹き出した。四月のシリアス顔がレア過ぎたからだ。
「ない!それだけはない!絶対ない!」
俺はオーバーなくらい手をぶんぶん横に振り否定した。その間にも笑いは止まらなかった。
「自覚ないんだ」
四月は憐れむような目付きで俺を睨み、大袈裟なため息をついた。
「自覚?」
俺は聞き返した。
「うん!そう」
突然、元気よく返事をしたかと思うと、四月がその場で立ち上がった。
「俺はね、俺は、つぐちゃんのことが好き!だい、だい、だーいすき!」
四月はまっすぐ拳を突き上げ、誇らしげに言った。
「自覚って、そういうこと」
四月が俺に笑いかけた。
「…うん、わかった、十分伝わった…」
俺は四月の熱弁についていけず気後れした。
「それで?それならどうして嗣人くんとしないの?」
俺は疑問を口にする。
「好きならすればいいじゃん」
「分かんないかなぁ」
四月はその場に座り、今度は説教じみた口調で言った。
「あのね、そういう行為は好き同士じゃないとしちゃいけないの。好き同士じゃないと、したって苦しいだけなの」
あほくさ、いつもならそう言うが、今日の俺は違った。
「うん、そうだね、俺が間違ってたよ」
「へ?」
言い返す気満々でいた四月が、素っ頓狂な声を上げた。
「急にどうしたの兄さん」
「俺、間違ってた。そうだね、そうだったんだ」
俺は飛び込むように、先に一人、部屋に戻った。嗣人くんが俺の布団の上で、猫みたいに丸まって眠っていた。
今まで辛い思いをさせてごめん。俺は、彼の寝顔にそう言いたくなった。もっと早く気付いていれば…
俺は今さらになって自覚した、俺が今本当に好きなのは、嗣人くんなのだと。
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