7章

3/6
前へ
/20ページ
次へ
P102 服装:嗣人はパンダのパーカーにショーパン(イラスト参照) 四季は自由(夏) 「本当に?」 先輩がまた聞いてきた。それも今度は嬉しそうな顔で。しつこい、そう思ったけど、僕はその笑顔見たさでもう一度答えた。 「思ってないって言ってんだから、思ってないよ」 そんなに僕からその言葉が聞きたかったのだろうか。先輩はまた晴れやかな顔をした。まるで、全ての重荷から解放されたような、そんな顔。 僕は思った。この思い、もっと言葉以外、全身で伝えられたら。 「先輩は?先輩は僕としたくないの?他の誰かがいいの?」 僕は先輩を見上げ言った。まずは先輩の気持ちが知りたかった。 「そんなこと、あるはずないじゃん」 先輩は言う。ならばと僕は先輩の手を、自分の服の中に忍び込ませた。なぜだろう、いつもの百倍恥ずかしい。好き同士だから? だから照れるのかな、この台詞だって。 「じゃあ先輩は、黙って僕だけを食べればいいの!」 言ってみて、顔から火が出る、ありえないけどそう思った。 先輩はよほど僕の言ったことが面白かったのか、手を叩き笑いだした。先輩は、いつの間にか“人間の姿”に戻っていた。いい加減なことは言いたくないが、緊張がほぐれたからかもしれない。 「……そんなこと言って、止めてあげられなくなるよ?」 笑いはしたが、まんざらでもなかったようで、先輩はうんと優しく目を細めた。 「うんいいよ」 はじめからそのつもりだったので、僕は快く了承した。僕の返事を待っていたかのように、先輩が僕を抱きかかえる。抱き方は俗にいう俵抱きだった。 「僕、先輩ならどんなことしたって許してあげる、だって先輩のこと大好きなんだもん」 先輩の背中を見つめ、僕は本心を言った。 直進方向はベッド。果たして鳴りっぱなしの僕の心臓は、爆発せずに済むだろうか、それだけが不安要素だった。 イラストは、もじゃこさま image=477481318.jpg
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加