廃病院

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 ある夜、とある廃病院の前に男が2人立っていた。よしお(仮)と太郎(仮)。 「太郎、女の子たちはどうした? 一緒に肝だめしするって言ってたろ」  よしおがたずねた。 「ドタキャンされた」  太郎は答えた。 「女の子がいない肝だめしに用はない。おれは帰る」  よしおは向きを変えて歩きだした。 「待てよ、よしお。話の種にちょっとだけ入っていこうぜ」  太郎はよしおの腕をつかんで引き留めた。  よしおは「しょうがないな」と太郎に付き合うことにした。  廃病院の正面玄関は施錠されていた。  それではと、2人は職員通用口らしきドアにまわりこんでみた。  こちらは施錠し忘れたのか、すんなり開いた。  2人は中に入った。 「この病院って、増築の繰り返しででかくなったんだって」  太郎が言った。  よしおは「へえ」と返事した。彼は懐中電灯で足元を照らしていた。
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