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目を閉じたはずだった。 なのに今自分は山奥の小さな村の入り口にいる。なんか気持がよかった。 「そういえばここ、父さんが産まれ育った村にそっくりだな」
そう、父が生きていたころに一度来たことがあった。そこにそっくりだった。でもなにか違う。あのときは静かだったのだが今はなにか明るい。村全体が活気溢れている。 「意味不明だ、過去にでも来たのか」
僕はゆっくり歩き出した。前に行った父の家を目指すべく歩き出した。
十分ほどすると、家がたくさん並んでいる集落があった。あと少しで父の実家につく。そう思い僕の足は一層早くなった。
僕は父の家の前まできた。前来たときよりも新しく感じられた。僕は中へと入った。 少し進むと居間があった若い女性とその子どもらしき人がはなしていた。「かあちゃん、小遣い上げてくれな」
その子ども、男の子は言った。 母らしい人が「なに生意気いっとるんや、うちは貧乏じゃお前に小遣いupさせるだけの金はないよ」 男の子は「みんないっぱいお金持ってる。俺だけ少ないのは嫌じゃ」
「静かにせんか公太生意気言うんじゃないよ」 男の子母は怒った。「 ……まてよ公太って父さんの名前だよな。と言い事はとうさんのこどもの頃なのかここは」 僕はここは父が子どもの頃の世界だと知った。そういえば父の母は前にイッタトキハ既に死んでると言っていた。ではやはりあの人は本当に父の母なのか? … 母だろう。僕は勝手に予想を付けた。と考えているうちに突然❗
「かあちゃんなんて嫌いや死んでしまえ」父はそういうと居間から飛び出して、家の外へいってしまった。母らしきひとは、そのまま固まって、こちらの存在に気付いた。 「あれ、あなたは誰ですか?」
と言われて僕はとっさに、「あっ都会からキタ者です」 と答えてしまった。
母らしきひとは「そうでしたか、中へお入りくださいお茶くらいならだせますので」 僕はいわれた通りに居間へと入った。 中は結構シンプルな構造であった。僕が畳に座るとそれにあわせるかのようにお茶が運ばれてきた。「粗茶ですが…お口に合わないかもしれませんが…」 僕はお茶を受けとると、一気に飲み干した。
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