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六、伝承
まず、南の国が傾いた。
草木は枯れ、川や湖は干上がり、各地で疫病が流行り始めた。
人々は争い、殺し合い、奪い合い、国民は皆、その責の全てを帝王に負わせた。
国民の嘆きに耐えかねた帝王は、自ら禁忌としていた行動に出られた。
「北方国家、ローレンシアを侵略せよ。」そして北の国が傾いた。
国土は荒らされ、作物の種子は根絶やしにされ、民家は燃やされた。
女子供は奴隷として連れ去られ、男は次々と殺されていく。
それを見た北の国の民たちは、一致団結し帝国の猛攻に対抗を始めた。
「彼の国を討ち滅ぼせ。情け容赦はいらぬ。」そして安寧の世は次第に戦乱の世へと移りゆくのだった。
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