六、伝承

1/1

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ

六、伝承

 まず、南の国が傾いた。  草木は枯れ、川や湖は干上がり、各地で疫病が流行り始めた。  人々は争い、殺し合い、奪い合い、国民は皆、その責の全てを帝王に負わせた。  国民の嘆きに耐えかねた帝王は、自ら禁忌としていた行動に出られた。 「北方国家、ローレンシアを侵略せよ。」そして北の国が傾いた。  国土は荒らされ、作物の種子は根絶やしにされ、民家は燃やされた。  女子供は奴隷として連れ去られ、男は次々と殺されていく。  それを見た北の国の民たちは、一致団結し帝国の猛攻に対抗を始めた。 「彼の国を討ち滅ぼせ。情け容赦はいらぬ。」そして安寧の世は次第に戦乱の世へと移りゆくのだった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加