AM8:20

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なぜ、 と聞かれたら、俺にもわからない。 一目で血色悪いな、とわかる顔色も。 クッキリと浮いた目の下のくまも。 パサパサと乾いて広がり、乾かさずに寝たのか?と、容易に想像がついてしまう、毎日違った表情を見せる寝癖がついた長い髪の毛も。 たまに血が滲んでいるのがわかるくらい、パックリと割れてしまった、アカギレだらけの荒れた指先も。 いつ見ても、 カサカサな、唇も… 彼女に惹かれる要素が、見当たらない。 なんで、だったか… いつから、だったか… 俺が聞きたい。 なんで、こんなに俺の中に、彼女がいるのか。 俺の視線が、 思考が、 彼女に吸いとられるように、奪われるのか。 たった5分だ。 一日、5分。 それが、俺が彼女を見つめていられる時間。
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