1053人が本棚に入れています
本棚に追加
なぜ、
と聞かれたら、俺にもわからない。
一目で血色悪いな、とわかる顔色も。
クッキリと浮いた目の下のくまも。
パサパサと乾いて広がり、乾かさずに寝たのか?と、容易に想像がついてしまう、毎日違った表情を見せる寝癖がついた長い髪の毛も。
たまに血が滲んでいるのがわかるくらい、パックリと割れてしまった、アカギレだらけの荒れた指先も。
いつ見ても、
カサカサな、唇も…
彼女に惹かれる要素が、見当たらない。
なんで、だったか…
いつから、だったか…
俺が聞きたい。
なんで、こんなに俺の中に、彼女がいるのか。
俺の視線が、
思考が、
彼女に吸いとられるように、奪われるのか。
たった5分だ。
一日、5分。
それが、俺が彼女を見つめていられる時間。
最初のコメントを投稿しよう!