一番最初

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何から話そう?かなり迷う。  ここは順序立てて過去の話からしていこうと思う。僕が初めて幽霊を認識した話から。    もう、今から十年前のことになる。当時、私は中国の北京にある龍頭公寓(ろんとうこうぐう)に住んでいた。なんで外国に住んでいたかというと、父親は、転勤族だった。私は三度転校した。北京日本人学校は二つ目の学校だった。  私は小学校四年生で、世の中の事は分からないクソガキだった。初めて会った校長先生の前で退屈のあまり、サインペンで遊んでいた。後で父に、怒られた。なかなか礼節を欠いたガキだった。今でも思い出すと恥ずかしくなる。  話がそれた。  話を戻すと、小学校四年生の時に龍頭公寓(しいて言えば、日本人街)で僕は遊んでいた。日本人というのは一か所に集まると、暗く、陰険になる性質があるらしい。あの公寓は、少しも開いたところがない場所だった。当然というか、子供の間では、いじめが頻発する。上下の階級はきっちりと決まっている。  僕はもちろん、下っ端として認識されていた。だが、恐ろしいもので僕自身は階級なんぞ、あるとも思ってもいなかった。それでも、最初の三カ月は何にも無かった。  ある夜の事だ。  
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