一番最初

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秋の初旬くらいだった。枯葉が大気汚染で濁った空に巻き上げられていた。日の光は、ついに西に沈み闇が迫っていた。そんな中でリーダー格が、「肝試しをしよう!」と言い出した。他の皆は予定調和のようにOKした。僕もOKした。  皆で、お化けが出そうな所を周った。大きな姿見がある誰もいないジム、お手伝いさんが住んでいた裏のアパート、誰も使わない非常階段、最後にうら寂しい運動場の門の前に行った。  門の左のところに、ボロボロの着物の様な物を着た女の人がいた。顔は笑っていた。  僕の目には見えなかったが、頭の中の映像には映りこんでいた。  僕は、女の人がいることを伝たが、嘘つき呼ばわりされた。しかし、その場にもう一人、女を見ていた子がいたので、その場は「気味が悪いから」帰る事になった。  翌日、女はまだ門の前にいた。その翌日も。  僕は親に女のことを話した。親は、「あまりその事を話さないように」と、僕に注意した。  女は親に話した次の日もいた。ただ、その顔は今までの笑い顔ではなく、目を吊り上げ怒っていた。  翌日、女は消えた。  ほどなくして、私へのいじめも始まった。 後書き  読み始めて下さってありがとう御座います。
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