2596人が本棚に入れています
本棚に追加
/184ページ
放送はやけに長く、一部の人間をいらいらさせてしまったらしい。
そういえばと思い、僕は言った。
「あき……会長は捕まらなかったみたいですね。そういえば会長は、高等部全学年の顔を、名前とクラスと一緒に覚えているんですよ」
言った後でふと気付く。
この人、明良のこと嫌いだった。
「…………そうか」
「……?」
突然、哀愁漂う(タダヨウ)表情で奏さんがそう言ったので、雪斗は首を傾げたい気分になった。
普段明良に見せる嫌そうな顔という訳でもないし……明良と何かあったとか……?
考え過ぎだろうか。
とりあえずどうしましたか? とでも言うように微笑んで、委員長に首を軽く傾げてみるとこれまた不思議な反応が。
「──っ!? …………何でもない、よ。ほら、早く逃げないと」
………はあ、そうですか?
結局奏さんの反応理由はわからず、奏さんが雪斗の無表情を目撃したあのときから一度もそれについて聞かれなかったなあとも思いながら、鬼ごっこで逃げる場所を探すことにした。
最初のコメントを投稿しよう!