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「何だ?」
止める理由がわからず首を傾げる。
「えっと、その……俺は捕まえてくれないのか?」
「隼人を?」
何で? 捕まったらサッカー部の沽券に関わるとか言ってたし、逃走者なんだから逃げるのが普通なんじゃ?
いくら考えても隼人の言っていることがわからず、諦めた。
「よくわかんないけど、逃げた方がいいだろ? てことでじゃあな!」
「え、ちょ、萌貴!?」
呼び止めるような声も聞こえたけど、俺は話すことがもうないのでそのまままた走っていった。
しばらくしてまた友達に会った。
「萌貴!」
「ん? あ、昂(ゴウ)!」
同室の……とがわ…外川、だったかな。
派手な赤髪の奴で、隼人と同じくらい仲が良い。
いつもはほとんど見せない微かな笑顔をつくると、萌貴に駆け寄って来て言った。
「……ひさびさだな、こうやって話すのは」
「そうか?」
同室者の昂とは、ほぼ毎日会っている。
会えないのは大抵、昂が夜になっても帰って来ないときだ。
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